



2026年4月、アメリカ・セントルイスで開催された「VEX Robotics World Championship」に、FIVE by DOHSCHOOL所属のVEX V5 Robotics Competition High School部門チーム『Big Dippers』が出場しました。
Big Dippersにとって世界大会出場は2年連続。
今シーズンは、1月にパルテノン多摩にて開催された日本代表決定戦において、
・Excellence Award(最優秀賞)
・Tournament Champion(トーナメントチャンピオン)
・Robot Skills Champion(スキルズチャレンジチャンピオン)
の三冠を達成し、日本代表として世界大会への出場権を獲得しました。

VEX V5 Robotics Competition(V5RC)の世界大会には、各国・各地域の予選を勝ち抜いた強豪チームが集結します。
Big DippersはTechnology Divisionに出場。
予選成績は7勝5敗、87チーム中30位という結果でした。
また、Robot Skills Challengeでは世界837チーム中87位となりました。
ロボット性能だけでなく、ドライビング、戦略、エンジニアリングノート、チーム運営、ピットでのコミュニケーションまで含めた総合力が問われる大会です。
シーズン途中でのドライバー交代
Big Dippersは、シーズン途中でメインドライバーが交代するという大きな変化を経験しました。
V5RCでは、ドライバーの完成度が試合結果に直結します。
特にハイレベルな試合になるほど、
・瞬時での状況判断からの行動決定
・刻々と変化するゲーム状況に応じた、アライアンスロボットとの役割調整
・対戦相手のロボットの動きへの対応
・ゲーム終了までを見据えた時間管理
など、瞬間的な状況判断が求められます。
新たにドライバーを務めることになったメンバーは、シーズン後半にかけて急速に経験を積み重ね、世界大会本番では安定したドライビングを見せました。

予選序盤で発生したトラブル
世界大会予選では、序盤に複数のトラブルが発生しました。
Big Dippersのロボットは、いわゆる「S-BOT」構成を採用していました。
S-BOTとは、文字通りS字型になったインテイク&アウトテイク機構のことで、ロボット前面下部からゲームオブジェクトを取り込み、機体内部をS字状に搬送し、後部上段からアウトテイクしてゴールへ投入する構成です。
吸い込みから排出までをスムーズに繋げられるため、テンポの良い得点サイクルを構築しやすく、近年のV5RCでは多くの強豪チームが採用している代表的なアーキテクチャのひとつとなっています。
予選前半の試合中にバッテリーケーブルが抜け、ロボットが停止。
さらに別試合では、ニューマティックス用チューブに穴が空き、一部機構が正常に動作しなくなるトラブルも起こりました。
世界大会では、1試合の敗戦がランキングに大きく影響します。
トップチームは全勝に近い勝率を誇るため、特に予選前半での取りこぼしは、後半で連勝しても挽回が難しくなります。
Big Dippersは、これらの問題を単なる機材トラブルとして処理せず、「試合前チェック体制の不足」としてチーム内で整理しました。
その日のうちに、
・試合前チェック項目の再整理
・担当分担の見直し
・確認手順の固定化
を実施。
その後は大きな機材トラブルを起こすことなく、安定して試合を進めることができました。
世界大会ならではの“夜の練習会”
大会2日目の夜、Big Dippersは「世界のトップチームがホテルの大広間で自主的に練習試合をしている」という情報を聞き、現地へ向かいました。
そこでは、アメリカ、カナダ、などの上位チームが集まり、実戦形式で練習試合を行っていました。

世界大会では、公式試合以外にも、このような非公式練習会が自然発生的に行われることがあります。
参加した上位チーム同士は、練習試合を通して戦略確認やロボット理解のみならず、モチベーションの高いチーム同志のネットワーキングを行っています。
かなりの熱量で盛り上がっているこの場に入るには勇気が必要だったかと思いますが、Big Dippersもその輪に入り、複数試合を実施。
試合を重ねる中で、ドライビングや戦略理解について海外チームから高い評価を受ける場面もありました。
海外チームと交流しながら、その場で調整や改善を繰り返していく感覚は、日本国内大会とはまた違う、世界大会特有の空気感があります。
後半戦で巻き返すも、予選順位は30位
予選後半、Big Dippersは安定した試合運びで勝利数を伸ばしました。
しかし序盤の敗戦が響き、最終順位は30位。
V5RCの世界大会では、予選順位上位チームがアライアンスキャプテンとなり、決勝トーナメント用のパートナーを選出します。
Big Dippersは、大会期間中は勿論のこと、宿泊先に戻った後も、海外チームに対して積極的にコミュニケーションを行いました。
・序盤トラブルの原因分析が済んでいること
・再発防止策を既に導入していること
・ドライビングレベルへの自信
・戦略相性の良さ
などを具体的に説明。
その中で、予選5位で通過していたカリフォルニアの強豪チーム『7700R Rolling Robot Ravens(Rolling Robots)』がBig Dippersに興味を示してくれました。
台湾チームのフィールドで行われたテストドライブ
アライアンスセレクション前日夜。
Big Dippersが宿泊していたホテルでは、台湾チーム団が大広間を貸し切り、フィールドを設置していました。
その中には、前年12月に台湾で開催された国際大会で親しくなったチームもおり、Big Dippersは自分たちで築いてきたグローバルなネットワークを通じて、フィールドを借りることができました。
そして、カリフォルニアチーム立ち会いのもと、テストドライブを実施しました。
国や地域を越えてチーム同士がつながり、協力し合えることは、VEXの大きな魅力のひとつです。
また、その関係性を自分たちの力で築き上げてきたことこそが、Big Dippersの強さでもあります。


ロボット性能だけでなく、
・ドライビングの安定感
・ストラテジー理解
・連携時の相性
・自律走行の精度
などを実際に確認してもらいました。
テスト終了後、カリフォルニアチームから「アライアンスセレクションで指名する」という返答を受けました。
世界大会では、試合結果だけでなく、こうしたピット外でのコミュニケーションや信頼構築も非常に重要になります。
ディビジョンファイナル進出
翌日のアライアンスセレクションで、Big Dippersは7700R Rolling Robot Ravensから正式に選出されました。
その結果、4位シードアライアンスとしてディビジョンファイナルへ進出。
昨年の世界大会では到達できなかったステージに進むことができました。
ディビジョンファイナルでは、アライアンスパートナーのロボットに故障が発生し、十分な得点ができない状況となりました。
その結果、決勝進出には届きませんでした。
ただ、Big Dippersは世界トップレベルのチームと対等に戦えるレベルまで到達したことを、試合を通して示しました。

世界大会で得たもの
今回の世界大会では、競技結果だけでなく、多くの国際的な繋がりも生まれました。




大会終了後には、
「来年また世界大会で会おう」
「日本とアメリカで共同開発をしよう」
といった会話も交わされ、継続的な交流の話も進んでいます。
VEX Roboticsの大きな魅力のひとつは、単なる競技に留まらず、国境を越えた技術交流やコミュニティ形成が自然に生まれる点にあります。
Big Dippersにとって今回の世界大会は、“世界との差”を知る機会であると同時に、“世界で戦える実感”を得た大会にもなりました。
FIVE by DOHSCHOOLでは、今後も子どもたちが世界に挑戦できる環境づくりを続けてまいります。
引き続き、Big Dippersへの温かい応援をよろしくお願いいたします。

