5年間トップを⾛り続けたVEX⽇本代表チーム「54506D Beast Hunter」の軌跡 ③/③
■ガレージチームを⽀える家族の存在
5年間に渡り沢⼭の時間を共に過ごしてきた2⼈ですが、不思議なことに全く喧嘩はなかったそうです。V
EXで意⾒が異なることがあっても、「両⽅のアイデアを試してみよう」と提案し、意⾒を交換し合って
いったと⾔います。
お互いの⻑所を聞いてみると、「勇我は、率直に意⾒を⾔ってくれるので有難い。2⼈の考えを取り込ん
で、⼀緒にVEXをやっていくことができる」と、和樹君は話してくれました。⼀⽅の勇我君も、「和樹は
僕が失敗しても責めない。そして、⾃分が失敗した時は何回も諦めずに挑戦する」と話し、2⼈が幼馴染
としての阿吽の呼吸を持ちながらも、お互いの良さを認め合っていることが感じられました。
そして、ガレージチームBeast Hunterを⽀えてきたのは、何より両家の家族です。和樹君の⽗・住友芳
⾏さん、勇我君の⽗・尾花⼀丸さんの2⼈は、ガレージチームのメンターとして、⺟は英会話のレッスン
や活動場所の確保など、全家族でBeast Hunterを⽀え続けて来ました。
「両親はプログラミングやロボットの知識は全くなかったので、2⼈が頑張るのを⾒守り、練習できる環
境をつくったり、⼤会の引率をしたりすることしかできませんでした」と話す芳⾏さん。
⺟の真穂⼦さんも、⾃宅の⼀部屋がVEX Labになってしまった事に疑問を感じていましたが、⼦ども達が
活動する姿を⾒て、「この体験は⾮常に貴重なものになる」と感じ、協⼒してくれるようになりました
。アメリカの⼤会には家族そろって参加し、2⼈の活躍を観客席から応援しました。
■5年間のVEXロボティクスで得たもの
現在、2⼈は中学3年⽣。年齢制限のある「VEX IQ」は2023年4⽉の世界⼤会の参加をもって、出場資格
がなくなりました。2023年、5年間続いたガレージチーム「54506D Beast Hunter」は解散し、現在、
2⼈はそれぞれの道を進んでいます。
勇我君は、⼩学校から続けていた卓球に注⼒し、中学⽣最後に団体での全中出場を果たしました。
和樹君は、「もう⼀度VEXを楽しみたい」という思いから、中⾼校⽣以上が参加できる「VRC」に挑戦す
ることを決めました。現在は、DOHSCHOOLで同級⽣とチームを組み、VRC世界⼤会経験者の先輩から
学んでいます。
「VEXを通して⾊々な⼈と関わって、他の⼈にどうやって伝えればいいのかを考えたり、⾃信を持ってい
いんだということを知ったりと、これからの⾃分に⼤切なことを学んで⾝に着けることができました。
プログラミングが上⼿くいかなかったりして、つまらないとか、やめたいと思ってしまう時もあると思
います。でも、そこで『やめよう』ではなく、『じゃあ、次はこうしてみよう』と考えて続けて⾒てほ
しいです。1回⽴ち⽌まって、もう1回考えて、もう1回挑戦することが⼤切。⾃分たちのできるところま
で続けて頑張れば、きっと結果は出ると思います」(和樹君)
「VEXでは2⼈で協⼒して、ひとつのことを成し遂げることの楽しさを知ることができました。それだけ
でなく、⼤会では初めて会う他のチームとコミュニケーションを取ったり、プログラミングなどのスキ
ルも養ったりすることができました」(勇我君)
2⼈の⺟校である⼋王⼦市⽴宮上⼩学校では、Beast Hunterの活躍がきっかけとなり、学校に「VEXクラ
ブ」が誕⽣しました。現在は、勇我君の弟をはじめとしたメンバーが世界⼤会を⽬指しています。
始まりは、1⼈の少年の「楽しい」という気持ちでした。それが友⼈に伝わり、学校へ後輩たちへと受け
継がれ、そして世界中と繋がっていったのです。
和樹君と勇我君はプログラミングの知識ゼロからのスタートで世界の舞台に⽴ちました。
同じように、誰しもが、世界に挑戦できる可能性を持っています。
三英株式会社では、VEXロボティクスに挑戦する⼦どもたちを、2018年よりサポートし続けています。
Beast Hunterの2⼈のように、新たな挑戦者がこれからも誕⽣していくことを期待しています。
(完)